2025.7.28 夏季研修大会『全体会』

【開催日時】 令和7年7月28日(月)
【講師】 髙﨑 真 先生
こどもと絵本研究室 読み合わせサポーター
元チャイルド本社保育絵本研究室長
【講演テーマ】 ~絵本は大切なこころの栄養です~
『遊びから学びへ~自然に育つ興味の芽』
【記録者】 みどり台幼稚園 佐藤 幸枝

【講演内容】 絵本は身近にある教材である。先生方は毎日絵本を手にしていると思うが、構えて読んでしまうことが多い。こどもたちを前にすると静かにさせることに集中してしまい、「絵本を楽しむこと」が置き去りになってしまいがちではないか?そんな先生方の気持ちを軽くし、こどもと一緒に絵本を楽しむ読み方を考えていく。

①『絵を読む遊び+言葉を聞く遊び』 絵本の楽しさは、絵を読む楽しさである。「先生、本読んで!」というこどもの声は、「先生!この絵本一緒に読んで遊んで!!」ということであり、「絵本は人と人をつなぐコミュニケーションツール」である。 先生とこどもは絵本1冊あればすぐにともだちになれる。絵本を読んであげるという意識になると楽しむことは置き去りになり、先生主導の活動になってしまう。絵本は、先生が読むことによって言葉を聞く遊びであり、読み聞かせするものではない。

②絵本の楽しさは、想像する楽しさ → 『想像遊び』 ある親子の事例。「999ひきのきょうだいのおひっこし」を読んだ女の子が、999匹ちゃんといるのかを数え始めた。しかし、350匹のかえるしかいなかった。「残りはどこにいったのだろう?」というお母さんの声かけに対して 女の子は 「この池の下にもぐっているのが残りの子たちだよ」と発言。絵からその状況を読み取るということは、 描いていない所を想像し、イメージを広げていくことである。絵本の絵の中を想像力は、一人ひとり違っている。そこに正解はないので、発想を言葉にすることによって、一人ひとりのイメージをみんなで共有することもできる。友だちが考えていることを言葉で聞き、イメージの共有をし、想像遊びができてくる。

③絵本は読み聞かせではなく、読み合わせる楽しみ→それが 『会話遊び』 絵本を読みながら、絵本で遊ぶ。一つの絵をとりあげで、それについて話たり、驚いたり、こどもと対話をすることを楽しむ。時にはこどもたちを黙って聞くように促す場合もあるが、こどもの言葉を拾ってあげることによって、言葉遊びを楽しむことができる。言葉遊びは繰り返し行われるので、次の日もまた次の日も同じ言葉遊びを繰り返す。その繰り返し言葉遊びを楽しむことが「読み合わせる」ことになる。絵本を見ながら言葉や気持ちのキャッチボールを通して心のつながりを深めていく。こどもが1番楽しみにしていることは、絵本を通してつながるコミュニケーションである。こどもの発想はとても面白い。様々な発想を肯定してあげることにより、こどもの自己肯定感が上がっていく。

保育で絵本を読む、少人数で、集団で読む事ことの意味、効果とは? 先生に絵本を読んでもらうこと、それは子どもにとって「絵本で一緒に遊ぶ、遊んでもらう」という感覚である。
一緒に遊んでもらうからこそ出てくる様々な子どもの言葉、リアクション。それを読み手がしっかりと受け止め ながらまた子どもに返していく。これはまさにこれがまさに言葉の伝え合い、心のキャッチボールにほかならな い。絵本は決して読み聞かせではなく、絵本を通して読み合わせながら、たくさんの言葉と心のキャッチボ ールを楽しめるものである。コミュニケーション力が圧倒的に足りない今の時代だからこそ、読み合わせはと ても必要だと感じています。聞く力だけでなく、伝える力を遊びの中で楽しく育てることこそが、豊かなコミュ ニケーション力を育むことに繋がる。

チャイルド社発行、5領域シリーズの月刊本「あそぼ!」「かんがえる」は
小学校への前段階として、聞く力、伝える力を育む

【講演エピソード】

講義冒頭から絵本を題材にクイズがあり、会場内からも沢山の手が挙がっていた。正解者には絵本や、その題材にちなんだ食べ物などのプレゼントがあり、とても盛り上がっていた。
高崎先生が紹介されたチャイルド社の絵本は、参加者にとって馴染みのある本がたくさんあった為、受講者にとって受け入れやすく、理解が深まりやすかった。
特に印象に残ったのが「形式的な導入から入るのではなく、子どもたちが絵本を読みたくなるように導入していく」という言葉で、単に読み聞かせを始めるのではなく、子どもたちの関心や生活に結び付け、雰囲気作りをすることで「この先を知りたい」という気持ちを引き出すことができると学んだ。