
開催日時:令和7年7月28日(月) 13:00~16:00
講師:中道 圭人先生(千葉大学教育学部 幼児教育講座 教授)
講演テーマ:子どもの発達~子どもの姿から育ちと発達段階を読み取る~
記録者:英進幼稚園 石川 しえり
講義内容:「育ち・発達の読み取り」の基本を振り返る・・・をテーマに講話をして頂きました。


1.演習「こどもの遊びの姿」からこどもの気持ち・育ちを読み取る
3歳児・4歳児の砂場遊びの映像を視聴し、こどもが他者とどのように関わり、協力や模倣を通じて社会性や情動を育むのか分析する。映像を通して気づいた点をまとめ、グループディスカッションにてそれぞれの多様な視点を共有した。
こどもの遊びには、平行遊び・連合遊び・協力遊びなどの発達段階があり、年齢や発達状況によって異なる姿が見られる。
平行遊び:複数人が同じことをしているが、関わりは少ない。
連合遊び:グループに属し、共通の行動や興味が認められるが、役割分担は見られない。
協力遊び:役割分担が明確になり、協力して遊びが展開される。
2.多面的・長期的な視点の重要性
こどもの育ちを多面的かつ長期的な視点で捉えることが、個々の発達を支える上で重要である。こどもの発達を単一の側面だけでなく、5領域や10の姿、三つの柱など多面的に捉えることが大切。こどもの個性や発達速度の違いを認め、長期的な目標を意識しながら日々の保育のねらいを設定する。
3.こどもの育ちを支える要素
ピアジェの「認知的葛藤」・ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」・レイブ&ウェンガーの「正統的周辺参加」・ドッジの「社会的情報処理」
4.「社会情動的能力(非認知能力)」
知能や技能といった「認知能力」に対し、学びに向かう力や人間性に関わる能力。「目標を達成する力」「他者と協働する力」「自分への情動を制御する力」から成り立つ。非認知能力は幼児期だけでなく、生涯を通して育っていく。保育の中で育まれる力が、小学校・中学校・高校へと繋がる基礎となる。
5.実行機能の育ち・発達を支える保育実践例
直接的な関わりで・・・落ち着いて、ゆっくり、丁寧に、静かに話す。等
保育の計画・実施の際に・・・1つの活動時間を短くする、活動をルーティン化する。等
環境設定として・・・クールダウンのための静かな環境を整備する。等
【特に記憶に残った講義内容 ~ワーキングメモリ~】
何かを記憶しながら、同時に別の処理を行う能力。定型発達の個人差や長期的な適応に重要な役割を担っている。講義中、実際に単語を記憶するテストを行い、複数の事柄を同時に記憶することの難しさを実感した。
【感想】
保育を行う上で、まずこどもの姿をよく観察し、育ちと発達段階を読み取ることが大事であるということが分かった。また、こどもの姿を観察・記録・分析することで、発達や育ちを把握し、支援に繋ぐことができると感じた。今回学んだことを今後に活かしていきたい。