24.07.29 夏季研修大会『第1分科会』

① 開催日時:令和6年7月29日(月)

② 講師名:宮﨑 豊 先生(玉川大学教育学部乳幼児発達学科教授)

専門分野:特別支援教育・乳幼児の保育

障がいのある乳幼児の保育・教育に関する研究保育学、子育て支援に関する研究、

保育者の資質向上にかかわる研修制度の研究、保育者養成課程の研究、

就学前の保育・教育の現状をリアルタイムに授業に取り込み、かつ学術的な視点を織り込みながら学生と議論することを目的に、研究日には保育所や幼稚園にてフィールドワークを行っている。

また、実践の場に身をおき、障がいのある子どもと保護者の指導、保育者の支援も行っている。

③ テーマ【「ちょっと気になる」子どものいる保育】

④ 記録者 八木ケ谷幼稚園 (山口優実、佐藤美吹、鍋島初香)

⑤ 講演内容

子どもとの向き合い方が困難な時、ミルククラウンで考えるとわかりやすい。

初めから直接的なアプローチ(大粒)をするのではなく、間接的なアプローチ(小粒)をすることによって、その子の行動の原因が見えてくる。

(事例から学ぶ)

<友だちと一緒に遊ぶことができない>

例題 自由遊びの時間にアイスのおもちゃを使って遊んでいるが、

友達の様子をうかがって気にしている様子。保育者としてどう声をかけ関わるか。

【子ども理解の手がかりとなる情報】

〇計画することの難しさ

〇見通しをもつことの難しさ

〇問題解決をすることの難しさ

〇推論したり、判断したりすることの難しさ

〇日々の経験や学習からの積み重ねの難しさ

〇専門機関で実施される知能検査の指数が70以下  である。

受講者の回答 「アイスおいしそうだね」

「先生にもアイスください」 

「お店屋さんごっこのようにやり取りして周りの子にも買いに来てもらうなどして遊んでみる。」 etc…

<乱暴な言動や人が嫌がる言動など不適切な表現をしたり行動したりする>

例題 お弁当を食べ始める時に周りの子のお弁当のにおいがくさいと騒いだり、

 注意されると手が出てしまったりする様子

【こどもの理解の手がかりとなる情報】

〇体の意識、操る力が育っていない

〇体を保持する力がそだっていない

〇自分の思いや気持ちを処理する力が育っていない

受講者の回答 「お友達の気持ちになって言われて嫌なこと、

どんな気持ちになるか考えさせる。」

「手を出さないように我慢することを覚えてもらう。」

「我慢している気持ちを発散させるためにたくさん遊ぶ!」etc…

ある行動を大人が「困った」と否定的にとらえるか、あるいはこどもはそうしなければならない窮境にあると肯定的にとらえるのかによって大人の関わり方は違ってくる。

問題が起こった時に表面的な状況で判断するのではなく、なぜそのような行動が起こってしまったのか原因を考え、子どもにアプローチしていくことが大切であり、向き合っていくなかで自らを変化させ、子どもを理解し、子どもが求める援助を考える保育者の「揺らぐ力」こそ、子どもにとって幸せな「薬」になる!