24.07.29 夏期研修会『第4分科会』

①開催日時:令和6年7月29日(月)
②講師  :川並 珠緒 先生
     (聖徳大学 大学院教職研究科 教育学部児童学科教授)
     「満3歳児の入園と保育について」
③記録者 :古和釜幼稚園 岩崎 直美  野本 美里

④講演内容

1. 満3歳児の保育

(1)子育ての状況について

①子どもの育ちの現状
基本習慣や態度が身についていない子が多く、他者との関わりが苦手で自制心や耐性、規範意識が十分に育っていない。足首や膝、股関節の固さなど運動能力の低下が目立っている。また、進学する際には集中出来ず話が聞けず授業が成立しない状況も見られる。

②子どもの育ちの変化の社会的背景
少子化や核家族化、都市化、情報化、国際化等、わが国の経済社会の急激な変化を受けて人の価値観や生活様式が多様化している。外国籍の方も増えてきたことにより、人間関係が希薄化になり、言葉が通じず説明も困難になってきている。

③子どもの育ちを巡る環境の変化 ~地域社会の教育力の低下~
多様な体験をすることが不可欠であるが、少子化、核家族化が減少する事で、体験の機会が減っている。地域の大人は子どもとの関わりを知らない部分が多い。また、親を育てる教育が必要である。

④親の子育て環境などの変化 ~家庭教育力の低下~
孤独感、子育て不安の親の増加により、虐待が増加していることや、女性の社会進出により、仕事と子育ての両立+家事や合理主義や競争社会の中で育った親が多いので、子どもを競争させたがる。そして、労働時間の増加による子どもと過ごす時間の減少が、家庭の教育力の低下に繋がる。

⑤幼稚園等施設の教員等の今日的課題
社会環境の変化に伴う新たな課題に対応するための能力として、子どもの育ちを巡る環境や、親の子育ての環境の変化に対応する力が必要である。研修の必要性(スキルアップ)

⑥幼稚園、保育園、こども園どこに通う?
幼稚園、保育園、こども園の特徴を知らない人が多く、働く=保育園という概念が強い。幼稚園の預かり保育の実施、活動内容などを伝えていく事も大切である。

⑦幼稚園における子育ての支援
未就園児の親子登園、保護者同士の交流の機会、園庭開放等で、親への情報提供にもなる。幼児期には、信頼する大人、特に保護者の影響を強く受ける為、保護者が安定した気持ちで、子どもを育てていくことが、子どもの健やかな成長となる。

⑧未就園児の保育の目的
未就園児保育の場合、午前中の一時間から二時間程度がよい。保護者と一緒に関わる時間、空間、仲間を与え、外遊びでは安全に配慮する。未就園児保育をすることで、支援が必要であることも見極められる目安となる。また、保護者同士が子育てに関する正しい価値観を、共有し合う場としての提供にもなる。

⑨保護者同士の育ち合いの場
本来子育ての正解は無いが、保護者は正解を求めたがる。それが、価値観の多様化、情報により、適格に判断できなくなっている。その為にも幼稚園に遊びに来る機会が増えると子どもの心配や不安を相談できる。

2.満3歳クラス

・聖徳大学付属、第二、成田、浦安幼稚園の取り組み
・自園の満3歳児クラスについて考える
・環境整備…満3歳児クラスを始めるにあたり、新たに保育用品の購入をしなくても 今ある物で工夫することにより環境を整えて始める事が出来る。


クラス環境の写真を見せて頂きました。