①開催日時 令和7年7月28日(月)
②講師 中村 敏也先生(児童発達支援事業元気キッズグループ代表)
1977年7月埼玉県生まれ。朝霞三中、川越高校、明治大学経営学部を卒業後、大手通販会社へ就職。その後、従兄に子どもが生まれ、保育園に入りたくても入れないという待機児童問題に驚き、保育学、児童発達支援を学ぶ。2004年9月、埼玉県志木市にて「保育園元気キッズ 志木園」開園。以後地域のニーズに対応しながら小規模事業保育所、児童発達支援事業所、保育所等訪問支援事業所を開設。

③「児童発達支援事業と幼稚園・保育園との連携について」
PAY IT FORWARD
社会性と実業性を両立できるインクルーシブ保育の実践
④記録者: 古和釜幼稚園 岩﨑 直美 野本 美里
1.元気キッズグループ
埼玉県南部を中心に地域に根づいた28施設を運営。
保育園元気キッズ14施設(認可7,小規模7) 児童発達支援元気キッズ7施設
相談支援元気キッズNCS2施設 児童発達支援センターキッズ その他(病児保育や学童など)、4施設
2.インクルーシブ保育の実例
小規模保育園、認可保育園、児童発達支援施設を同じエリアに集約することで密な連携とインクルーシブな保育環境を実現。週1,2回通い同じ内容を繰り返す事でで、出来る事が積み重なっていき自信に繋がる。幼稚園、家庭保育、ホームスクールなどをインクルシーブと考えている。
3.他の健常児:共存の日常化
・健常児と一緒に過ごす事で、先生の言う事は聞かないが、友達の言う事は聞き友だちがいれば出来る等「お友だち先生」になるくらい共存し卒園してからも繋がりを持ち交流している。
・課題のある子は、親、学校等の太い線で繋がるのではなく友達など地域の細い線が沢山繋がる事で障害という部分が下がっていく。
4.インクルーシブ保育を実現するために立ちはだかった3つの理解の壁
・働く保育士の発達に対する知識と理解
・定型発達児の保護者の理解
・地域の理解
交流が深められるようにお互い方針を知っていき、保育と療育の違いを知りながら個別、カスタマイズをする。
5.児童発達支援とは?
・発達に特性や遅れのある未就学児を対象に、日常生活に必要な基本動作や社会性を身につけるための療育を提供する福祉サービスである。
・対象児童は、療育手帳、医師の診断、市町村の支給決定を受けた子ども達である。その子が、今抱えている問題が何かを見極めること。又、6ヶ月で達成できる物が望ましい。
・最小人員配置基準として、児発管1名、指導員2名、機能訓練担当職員1名が必要だが、指導員は課題に向き合うことに慣れている保育士が望ましい。
・変化のある子とない子の差は個別支援計画がしっかりしていたり、こだわりがあることで変化していくため支援計画はかなり重要。
・支援は、感情ではなくより論理的に物事を考えられる人。どこか好きなポイントがある人。が向いている。
6.インクルーシブに子どもに関わる社会構造を作る
・保育事業だけでインクルーシブ保育を実現することは難しく、児童発達支援事業所との連携できる社会構造の構築が必要となる。
・社会構造を作るとは
①知る ②当たり前を変える ③垣根を取り払う
④普通の生活や仕事の中でそれが成り立つ
・元気キッズでは、保育園、保育所等訪問事業、その他、保育型の児童発達支援、相談支援など全くの未経験の状態だったため、その都度必要に応じて自分で事業を立ち上げた。
7.ブランディング マネージメント
・ブランディングとは活動の理念を明示し、他者との差異化を行う。
・マネジメントは組織作りが大切になる。人材を選ぶにも理念、文化、ルール、職員の定着など組織を支えるためのピラミッドが重要となるので、採用が大事になる。
・一人ひとりが率先し、見えない善意、配慮が必要。又、個々を大切にするのではなくチームを大切にする。
8.職員の人間力、相手をよく知るために
一人ひとりが周りや会社のことを考えてお互いを尊重し合って職務に携わっている。
・人間には3つの力がある。
テレパシー→超能力に近い通信、身振り手振りなしで心に伝わる。
エンパシー→「ちがうこと」を前提とした理解
シンパシー→同じものを見て感動したり、同じ境遇においてする共感
・職員の採用の面接は、やってきた事実だけを聞く。
ABA応用行動分析、行動焦点をあてると共感、出来る職員に巡り会える。
9.児童発達支援をはじめて広がった世界観
・児童発達支援を行う為には、学校、医療と連携していく事が望ましい。又、地域の方に支えられなければいけないので、地域の方とどう繋がっていくかという事を大切にしていく必要がある。
・健常児世界に障がいのある方が暮らしていく世界は大変だが、逆に障がいのある方に健常児の方が合わせていくという世界の方が社会として成立しやすい。
(まとめ)
・療育はどんな支援をしても良い。30分以上 30分~90分 91分~3時間の3つの区分に分かれている。
・色々な支援療育の形がある。
集団、個別等、基本は基礎集団へ向かっていく療育が必要である。
・どのような支援の仕方が良いか保護者が選ぶことができる。
・連携、情報共有の点からも同じ法人が運営した方が良い。